サンセバスチャンに行ってみたいとは思う/高城剛「人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか」
「たけしの誰でもピカソ」に出ていたとき、何だかよく分からん怪しいオッサンだなー、と思ってみていて、その後、沢尻エリカとのゴタゴタを通じて、個人的には、ますます怪しい印象しか持っていない、高城剛さんの本。
人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか―― スペイン サン・セバスチャンの奇跡(祥伝社新書284)
- 作者: 高城剛
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2012/07/01
- メディア: 新書
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たまたま料理、飲食店関係の本を読んでいて、サンセバスチャンという街の名前を目にして、どうやらイタリア料理ブームの後の、バルブームというか、スペイン料理ブームに影響している街らしい、と思っていたところに、Twitterで木下(@shoutengai)さんが紹介していたので、読んでみた。
こちらもおすすめ。バスク地方のサンセバスチャンがわずかな期間で星付きレストランを始め世界が認める美食の店だらけになれたお話。/人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか―― スペイン サン・セバスチャンの奇跡(祥伝社新書284) http://t.co/OhkuTEswmu
— 木下斉/HitoshiKinoshita (@shoutengai) 2015, 7月 9
まあ、読んで、サンセバスチャンには行ってみたい、とは思った。
単純にメシ食うために、と言うのと、街の雰囲気とか観光客の構成を見たい、と言うのと、後はやっぱり実際にやってる人たちの考え方とかを聞くために。
とは言え、スペイン政府全体の方針と、この街独自の取組との整理や、フランコ政権崩壊・バスク独立運動・EU加盟といった時間軸での動き、変化と、バスク人という固有のアイデンティティを持った人たちの歴史的な文化、伝統との整理も、個人の感想レベルに留まっている、と感じた。まあ、新書であって、研究書じゃないから、そんなもんか、とも思うけど。
食を通じた地域活性化の方策としては、B級グルメやゆるキャラよりもよっぽど正統派で地に足着いた取組ではあるのだけど、では、地域活性化のツールとして、どういう食を扱うか、の前に、そもそも、食が正解なのか、と言うのは、考える必要があるところ。
まあ、観光という視点では、どっちみちメシ食うところは必要だし、メシの吸引力は強いよね、という話だけど、では、外貨獲得策として、本当に観光なのか。
それから、食を軸とした観光振興を図る、と決めた場合でも、いきなり外部の人を狙いに行くのか(海外か全国か)、近隣の人を狙いに行くのか(日帰り圏内、同一方言内)、まずは地元民からしっかりした支持を得るのか、という点も大事だと思う。
少なくとも外国人相手で行くなら、和食、郷土料理みたいなものが効くのだろうけれど、それで地元民に評価されるのは、相当、難しいと思うので。
その点については、確かに本書中で紹介があった、伝統的な料理と「見た目が同じ」か「素材が同じ」という切り口は、地元民と観光客を両方納得させる、一つの可能性なんだろう、と思いますが。
あと、本書中、観光から、研究開発都市への変貌を図る、というくだりで、シリコンバレーにも言及していましたが、そういえば、うちの市(前の職場)でも、産業振興に資する人材育成機関設置の計画が動いていたハズだけど、その事業の担当者って、スタンフォード(のとある教授)によるWW2と冷戦による研究開発資金獲得から、通信、電子計算機、半導体装置、ソフトウェア開発の集積地となった経緯くらいは、当然、読み物として読んで、何が真似でき、何を変えるべきか、くらいは考えていてほしいなあ、と思いました。
まあ、僕は火中の栗を拾いに行くような性格ではないので、どうせ失敗・炎上するだろうから、ヤケドしないように距離を取りつつ、廃墟になって5年くらい経ったら、再建活動に協力すればいいか、くらいのスタンスで臨みたい。