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日々の仕事に必要な調べ物の結果や個人的見解を備忘録的に書いておくと他の人に役立つこともあるかも、くらいのノリで。対象範囲は人口構造、社会保障費、都市計画、行政運営、地方自治あたりになろうかと。

地域おこし協力隊、まじで増強すんの、、、

  バウマンの「リキッド・モダニティ」読み終わって感想まとめようと思いつつ、他のことに呆けていたら、ちょっと気になるトゥギャリを見かけるなど。

リキッド・モダニティ―液状化する社会

リキッド・モダニティ―液状化する社会

 

 

 今日、平成26年9月3日の内閣改造で、なんたら創生大臣に石破さんが就任するらしく、数日前から来年度の各省庁の概算要求が明らかになる中で、それ系の事業が多数、装填されておる模様。

 今の私の担当事務でも、「それ系のメニュー使った方がいんだろーかー、でも、似たような事業いっぱいあるけど、どれもスジ悪いし、ヘンな補助金申請書の作文のせいで、事業の骨格ユガむの面倒くせーからー、人件費分くらい自主財源でやらせろやー」、と思っているわけです。

 

 で、使うハメになるかも、な事業の1つが、来年度拡充要望が出ているらしい「地域おこし協力隊」制度(うちの事業の対象地区が、そんなに過疎地域でもないので、要件等の読み方が微妙なのと、先述のとおり、得られる予算と課される制約のバランスの検討必要)なのですが、ちょっとそれ関係で、こんなマトメを。

 

とある離島の地域おこし協力隊——「えっ…私の年収、低すぎ…?」 - Togetterまとめ

 

 基本的な感想は

 

 「すっげー、よくわかるわー。」

 

 です。

 ただ、一方で、彼の言い分だけを鵜呑みにしてしまうと不公平かな、とも思います。

 もちろん、職員とのコミュニケーション、信頼関係に不満があったとも指摘しているので、彼が希望や理想を言ったとき、市役所側が応えられないのであれば、最低限、そこの部分の「なぜ、できないか」という「コミュニケーションの丁寧さ」は、あってもよかったのかなー、と思うのですが。

 

 個人的には、これまでの仕事や、あるいは一般的に報道されている話の中で、「民間では当たり前なのに、市役所が動かない」という話にも、2パターンあると思うのですよ。

 ・市役所の組織的に難しい

 ・行政の仕事を客観的に考えたとき、それを他の市民が提案しても、あなた支持するの?

 

 で、前者は単純に、「すんません」て感じですが、後者はさらに

 ・できるだけ納得してもらえる(=味方を増やせる)方法を一緒に考えましょう
 ・批判されたらされたで「ごめんなさい」することにして、このままGO
 ・誰も納得しないでしょ、そんな事業
に分かれるのですが、最後のパターンをご理解いただけないと、色々とツライ。。。

 

 そして、個人的には、想定される批判と、説得するためのロジックをなるべく考える方向で、ご提案をうかがうように心がけてるつもりなのだけど、「地域のため」みたいな善意にほだされている人は、意外と視野が狭くなっているので、話をすればするほど、それは味方が増えないんじゃないかなー、という方向に走られる方もいらっしゃってですね。。。

 

 で、「味方いなくても、やる。俺、やりたいから!」くらいの熱量があるなら、「市役所はバカだから理解できない」と批判しつつ、自分でやった方が早いし、自由にやれる、と思うんですよね。民主主義社会における行政と市場の役割分担って、そういうことだと思うので。

 個人的には、大衆の賛同を得られない、リスクの大きい事業を行政が権力のもとにやるべきではない、と思っています。

 もちろん、できるかぎり、市役所の責務として市民に理解され、賛同される努力はすべきだし、そのときに「失敗するかもしれないけど、失敗しても大した影響ないよね」とか、そういう賛意の形もあると思いますけど。

※個人的には、「俺すら説得できなくて、投資家とか顧客とか集まるんですかね、、、」くらいには老婆心ながら思ったりもするんですけど、、、

 

 で、地域おこし協力隊。

 うちは、来年度やる予定の事業でたまたま趣旨が合致しそうで、かつ、国の方でも各省庁の類似案件を含めて増強予定ということで、これから、やっと使うかどうか詳細を調べるって段階なのですが、受け入れる側としても、「ちゃんとできる人が来るんだろうか?」って不安は、あると思うんです。

 

 あるいは、そもそも、その「ちゃんとできる」って、どのレベルを言うの? という部分で齟齬があると、不幸な結末を招くのかもしれません。

 

 個人的には、現段階では、特別なノウハウをもったプロに委託したり、共同実施するときとは違った形の事業展開になるのだろう、とみています。

 なので、制度を使うとすれば、行政側としては

 ・3年間でやってもらえる仕事の究極的な理想形を明確にイメージする
 ・当面、そのうちのごく初歩だけをやってもらう
 ・やってもらってやれたら、理想形まで段階的に引き上げる
みたいな感じで、事業を構想する必要があるのかなー、と思っています。

 

 何か特別なノウハウや、その人ならではの技術とか活かした独自の活動をやってもらえたら、それはありがたいですが、そこはプラスアルファの色付けくらいにしてもらわないと難しいのではないだろうか、とか。

※もちろん制度の詳細を調べていないので、ひょっとすると、そういう「来た人の個性で何でもやってください!」って体裁にしなくちゃいけないのかもしれないですが

 

 もう1つ考えられるやり方は、(市役所では動きにくいけれど、市場性と公共性がありそうな部分について)ちゃんとお金を払ってノウハウを持つ助っ人外人に事業の基本構想を構築していただきながら、その下で見習い&実働部隊として、3年間補助金を貰って生活する中で育ってもらって、3年め以降は、助っ人いなくても自立してやってね、という形もあるのかもしれません。

※繰り返しますが、事業スキームを調べてないので、そういう共同体制は許されないのかもしれませんが

 

 おそらくは、本来の対象地域は、本当に若い人がまるでいない、あるいは少数の若い人は先入観が強くて新しいことやってまで住もうと思わない、という地域で、そこに新しい仕事を生み出して定住してもらう、というスキームなのだと思うのですが、基本的には、スキーム(の土台や大まかな方向感)をつくる部分と、住んで実際に走らせる人は、分けて考えた方がいいんじゃないか、と思います。

 もちろん、やりがいとか、その人らしさ、という部分で、実際に走らせる人の個性を活かせる部分はあった方がいいと思うんですが。

 

 で、味付け的、フリカケ的なその人らしさじゃなく、徹頭徹尾、その人じゃなきゃできない仕事をイチから構想するんだ!っていう話なら、それは行政に頼らず、自分でやった方が早いよね、というさっきの話に戻るわけでして。

 財源的な支援をするにしても、市役所なんか噛ませずに、国が直接、やりたい個人を募集して、補助したらいいと思います。で、手形か何か発行して、市役所はその手形を持ってる人が来たら、住居とか相談に乗ってあげてね、くらいの。

 

 まあ、もう少し制度について勉強します。が、お互い不幸になるような制度なら、金だけを理由に使うべきではないし、そこは抵抗したいなー、と思う次第。