aemdeko

日々の仕事に必要な調べ物の結果や個人的見解を備忘録的に書いておくと他の人に役立つこともあるかも、くらいのノリで。対象範囲は人口構造、社会保障費、都市計画、行政運営、地方自治あたりになろうかと。

国の人とかマジでどんくらい勉強してるんだろう

 昨日、仕事の帰り際に、来年使う予定で申請中の補助事業について、問い合わせメールが来ていて、なんか、その質問のクソさに大丈夫かな、とか思った。

 

 もちろん、ひっかけ問題的に、真正面から答えるのじゃなくて、そんなことやっても意味ないですよ、と答えることを期待して質問してるなら、いいけど。

 でも、多分、国とかその外郭団体の人とかって、いわゆる教科書的な、学校の勉強的な決まりきった答えを期待してる気がして、しょうがない。

 そんなんで上手く行ってる地域ねぇだろ? 教科書に書いてあることに微妙な誤謬があるから、教科書の先を行く考え方が必要なんだろ?

 

 モレッティくらい読んだ方がいいよ、まじで。

年収は「住むところ」で決まる  雇用とイノベーションの都市経済学

年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学

 

 

 あるいは最近、政府関係のアドバイザーもやってる冨山和彦さんのL型、G型とか言う発想も同じ考え方なんだと思うけど。

 

 市内で生産された商品を広く世界に売っていく商売は、市役所が手を出すべき領域ではない。

 いや、異動前の仕事ではやってたけど。

 うちの街の場合、それなりに稼げる製造業とそれを売る卸売業があるので、そこで稼げるプレイヤーを増やしていくのは、もちろん大事。大事だけど、それはいわゆる地域活性化って仕事ではない。少数のスタープレイヤー育成であって、地域全体の底上げみたいな仕事ではない。

 

 でも、地域の活性化、全体的な底上げに必要なのは、18から25くらいの普通の人たちが、自分が働く場所として、うちの街をイメージできることだし、彼らの仕事を作り出すことだし、その大半は、市外から稼いでくる仕事よりも、稼いできた金を地域な内に落としてもらう仕事だよ。

 市外から稼いできた金をジャスコやアマゾンに渡すのじゃなく、なるべく地元で循環させるための仕事。

 もちろん、うちの街の場合、製造委託とか外注先としての製造業、あるいは在庫を抱える仲卸みたいな業態も存在して、それはそれで、外から稼いできた金を地域内で回す仕組みではあるけれど。

 

 でも、当然、地域内で落とす仕事の大半は、サービス業になる。

 

 ここでいうサービス業と言うのは、医療・福祉だとか、若くてキレイなおねーさんときゃっきゃするお店とか、飲食店を含めた、いわゆる対人接客が必要な仕事すべてだけど。

 で、その意味で、10年くらい前、郊外型大型家電店が隆盛を極めたときに、街の電器屋さんがどう勝負するかって話で言われていたように、小売店もサービスで選ばれつつ、モノで稼ぐみたいなスタイルもありうる、とは思う。

 

 大事なことは、外から稼いでくることじゃなく、すでに稼いできた金を市内で回す仕組み。

 そもそもが、市役所職員の給料や、年金のように、一定割合で東京から入ってくる金だってある。

 あるいは、視点を変えれば、高齢者が今までに蓄積してきたストックを、金庫で腐らせておくのではなく、どれだけ地域内で使ってもらえるか。

 

 よく金を貯めていても、あの世までは持っていけない、と言うけれど、実際、あと5年か10年して彼らが死んだとき、その金は息子や娘の手に渡るのだけど、その息子や娘の大半は市内じゃなく、大都市に住んでいるんだよ。

 だから、その前に使い切ってもらわないと結局、今まで市外から稼いできた金が結局、また大都市に流出してしまう。

 

 年金や貯金だけでは高齢者は不安で金を使えない、というなら、ある程度、高齢者に給料を払い続けられる仕組み、彼らを雇う仕組みも必要かもしれないけれど、それだって結局、大半はサービス業になる。

 

 もちろん、そういうサービス業の中で、才覚のある経営者は、市外までチェーン展開できるかもしれないし、あるいは市外から足を運ばせるだけの店にできるかもしれない。でも、それは、製造業からスタープレイヤーを育成するのと同じで、かなり確率が低い、偶然に期待する世界で、行政に求められる堅実な底上げとは違う世界なんじゃないの。