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日々の仕事に必要な調べ物の結果や個人的見解を備忘録的に書いておくと他の人に役立つこともあるかも、くらいのノリで。対象範囲は人口構造、社会保障費、都市計画、行政運営、地方自治あたりになろうかと。

【中心市街地】【経済】中心市街地活性化には昼間人口を増やす必要がある、という当たり前の話

 中心市街地がなんで衰退したのかって話をするときに当たり前すぎて誰も言う必要がないと思っているのか、本当に気付いてないのか、それとも、致命的過ぎて言うと身も蓋もなくて言えないのか、どういう訳か話題に上ってこないのが、平日の日中に行動できる人間の数の推移、ですよね。

 

 本当は、1950~60年代の国勢調査とか事業所統計とかで当時の就業状況をちゃんと確認してから述べるべき話なんだとは思うんですけどね。

 ただ、何となく、ざっくりしたイメージとして、当時の日本人って、ほとんど個人事業主じゃないですか、という話。平日の日中も自分の意思1つで時間を自由に使えた人たちじゃないですか。仕事してても、仕事の合間を縫ってね。農業者であれ、商工業者であれさ。

 

 それが高度経済成長期に労働集約型産業が興って、みんな工場で働くようになった。みんな、じゃないですね。それを実現したのが、よく言われるように、サラリーマン+専業主婦、という構造。

 で、専業主婦の人は、結局、平日の日中、自由に動ける訳ですよ、まだ。

 

 で、今。

 女性も普通にサラリーマン化してる訳でしょ。だから、結婚しない訳でしょ。男も引き続きサラリーマンのまんまですからね。平日の日中に家事やる人がいない訳ですよ。で、結婚した人も、子育て中の数年が過ぎたら、仕事に復帰するし。

 

 自分の身を振り返れば分かるとおり、残念ながら買い物をする時間なんて、仕事終わった後と土日しかないんですよ。で、仕事終わった後、市街地の商店、もう営業してないし、土日は限られた時間の中で効率よく買い回りたい。

 

 

 なので、売る側の立場で考えたら、少なくとも中心市街地で商店をやるにしても、平日の夕方以降と土日だけ開けとけばいいよね、とか俺は思うんですよ。それ以外の時間は別の仕事をしてれば、売上もそんなに追求せずに済むだろうし。

 

 平日の日中も店を開ける商店を存続させようとしたら、平日の日中に中心市街地に出かけて買い物できる人間を増やさないといけないですよね。専業主婦が絶滅寸前の今、可能性があるのは、個人事業主か学生か年金生活者を含む無職者しかいないと思うんだけど。

 

 サラリーマンも昼休み限定なら何とかなるかもしれない。あとは打ち合わせと称して入れるカフェみたいな業態とか。

 

 ただ、少なくともウチの地域で言うと、昼休みもサラリーマン、外に出ないんですよ。若干、ニワトリとタマゴとは言え、まあ、キツイと思います。

 奇しくも今日、ウチの会社の近所にローソンがオープンしましたが、何カ月もつんだろう、と言うより、過去、どれだけのコンビニがあの周辺に登場しては消えていったか。

 ウチの社員、昼休みに外に出ないんですもん。弁当を家から持ってくるから? そんな人はざっくり3割くらいかなー。ウチの地域は町工場が多い街のために、弁当配達産業がやたらと発展してるんですよね。で、工場じゃないようなウチの会社にも、自分が知ってるだけで・・・3社か4社、場合によっては5社くらい弁当業者が出入りしている状況。

 なので、昼、外食したりコンビニに買いに行くのは本当に少数派、という状況。

 

 自分はそういう中でもコンビニに通ってるんですけどね。今日オープンしたローソンできるまで片道1km弱、10分くらいかけて毎日、歩いて通ってます。

 弁当屋の弁当はコンビニより破壊的に安いけど、味が旨そうに見えないし、後、どうしても、その日の気分で何を食うかを自分で決めたい、という、ちっぽけな欲望があるから(所詮、コンビニのラインナップの中に限られるにしても)。

 

 だから、中心市街地の周辺に個人事業主の事業所を集積させたからと言って、彼らが平日の日中、街に買い物に出かけるか、って言うと、確かに厳しいのだとは思います。でも、まあ、商圏人口を増やそうと思ったら、そこに賭けるしかないような気がしますけどね。高齢者と学生は、財布のひも固そうだし。

 時間の裁量がある事業所、そこで働く人、彼らが食いに行きたいと思う飲食店、その行き帰りに立ち寄れる小売店、そのセットで整備しないと人は出歩かない。

 

 なんてことを思ってたら、こんな論文を見つけました。

 福士竜司 「中心市街地活性化政策における公共施設設置・移転の効果に関する研究」 政策研究大学院大学 まちづくりプログラム

http://www3.grips.ac.jp/~up/pdf/paper2009/MJU09065fukushi.pdf

 

 統計的な処理の部分はすっ飛ばしてナナメ読みしましたが、結論としては、冒頭の要旨にもあるとおり、「中心市街地への公共施設の設置・移転は全体として見た場合、有意な結果が得られない…中心市街地への公共施設の設置・移転に関しては、尐なくとも昼間人口を増加させる施設である場合が望ましい」と言うことです。

 

 ちなみに著者の方、現在の所属をぐぐると、それこそ残念ながら中心市街地活性化の失敗例に挙げられがちな某市の市役所職員らしいのが何とも皮肉な、、、。