民主主義は最悪の政治形態である
やまもといちろうさんが、こんな記事を挙げていたのを見逃していて、
ご本人の下記ツイートで気付いて、読みに行くなど。
以前こんなコラムを書いたが、今度は「国民の86%がポツダム宣言の内容を知らず、24%は存在も知らなかった」という情報に接し、いろいろもにょる。 : 知りもしないことを聞かれ、適当に回答する国民と、その結果に右往左往する偉い人たち http://t.co/jUsGQ3oWYZ
— やまもといちろう (@kirik) 2015, 5月 22
この、何も分かっていない素人による投票で決める、というのが、まさに現代の民主主義が置かれている現実だし、政治に職業としてコミットするあらゆる人間(政治家やメディアや学者など。そして、もちろん、行政職員)も、このことを念頭に置いて、仕事を進める必要がある、と思うのです。
個人的に市役所在籍時に考えていた市役所に課せられた最大のミッションは、今、どういう社会問題があり、それに対して、どのような対策を取ることができて、万能な解決策なんかないけど、複数の解決策のそれぞれの利点と課題を示して、課題解決の優先順位を、有権者に判断してもらう、という、いわば社会問題を考えるメディアとして、市役所が機能すべきじゃないか、と思っていたんですよね。
本来は、地方メディアや市議会議員がやる仕事なのかもしれないけど、現実、前者は商売にならないだろし、後者も今の仕組みではそこまでのスペックを期待できないので(組織化が必要で一人でやれる仕事じゃないし、やれる人がいても、そんな人は選挙に出ない)。
もちろん、社会問題を市民に提起するメディアとしての市役所、なんてことを考えて仕事をしている市役所職員には9年間で一人も出会わなかった、と言うのも、市役所を辞めた理由の1つです。
今の市役所は、市民と課題について対話をする気がないと思うんですよね。
むしろ、上記のコラムでの世論調査を見せたら、「ほら、みろ、有権者なんか何もわかっていないんだ、だから、俺たちで決めるべきなんだ」とか言い出しそうな連中は、何人も見てきたけど。
だけども、僕たちは、そういう少数エリートによる寡頭政治、と言うか、世襲制の問題点を排除した新しい貴族政治の試みとして、ソヴィエト連邦が崩壊するのをリアルタイムで見た訳じゃないですか。
1970年代後半生まれとしては、政治的に共産主義に熱狂する前に、ソヴィエト吹っ飛んじゃったんだよね。
具体的には中学校の地理の授業で、ソフホーズ、コルホーズ、五か年計画とか習ったのに、高校受験時には、消滅してた、という。
「トップガン」とか「ロッキー4」とかの1980年代アメリカ映画界に君臨した悪の帝国としてのソヴィエトは、どこ行っちゃったんすか、的な。
うちらよりもっと上の世代の人たちは、ソヴィエト共産主義をもっと違う観点から見ているのかもしれないし、少しでも下の世代の人たちには、もうソヴィエトがリアリティのある現実ではなく、歴史の遺物にしか見えないのかもしれませんけど。
それでもソヴィエト以外の例を探せば、たとえば、戦前の、金はないけど、知性はある地方エリートの立身出世手段としての陸軍士官学校、という存在があって、当時の世論が、政治家よりも潔癖な陸軍将校に期待し、当の憂国の志士たるエリート将校たちが、組織として結果的にどういう事態をもたらしたか。
それを考えれば、僕は個人的に、少数エリートによる専制よりは、民主主義が必要なのだろう、と思います。
Many forms of Government have been tried, and will be tried in this world of sin and woe. No one pretends that democracy is perfect or all-wise. Indeed, it has been said that democracy is the worst form of government except all those other forms that have been tried from time to time
(ムカつくことも哀しいことも多いこの世の中で、今まで色んな政治制度が試みられてきたし、これから先も試されていくんでしょう。民主主義が完璧だとか、万能だとかいうフリをしても仕方ないじゃん。マジで民主主義なんか、最悪の政治体制だって、今までさんざん言われてきたっしょ。それでも、過去に試されたどんな政治体制よりもマシなんすよね)
第2次大戦の勝利国であるイギリスの戦争指導者、ウィンストン・チャーチルによる1947年の国会演説ですが、実はイギリスは、対独戦争終結後の1945年6月、対日戦争終結を待たずに、国会解散して総選挙が行われ、そこでチャーチル率いる保守党は大敗しているので、実はこれ、戦勝国の指導者としての発言と言うより、野党党首としての発言なんですよね
…と言うのを今、引用するために探してきて気付いた。てっきり、そのまま首相やってて言ってるのかと思ってた。