aemdeko

日々の仕事に必要な調べ物の結果や個人的見解を備忘録的に書いておくと他の人に役立つこともあるかも、くらいのノリで。対象範囲は人口構造、社会保障費、都市計画、行政運営、地方自治あたりになろうかと。

市役所、辞めてよかったっすわ、マジで

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 先週末で前の職場の来年度採用を受付終了したらしく、その件で市長がブログを更新してたのだけど、採用PR資料を見てみたら、まあ、本当に辞めて良かった。

 

 具体的に、どの辺で彼らの求める人物像と、自分の信条と相違があるかは、また気が向けば書きますが、逆に、若い人でこれから市役所に入ろうかと考えている人向けに、自分が市役所にいて良かった点を3つ。

 

 1 貯金できる

 私は院卒だし、若干、職歴加算もされてるので、大卒新卒の人より若干、給与水準高めでしたけど、9年間の手取り収入が総額で、約30百万円。

 ※あ、まだ退職金の記帳に行ってないや、、、

 やった仕事だとか、大学の同期とかのことは考えずに、小さな地方都市の勤め人、と考えれば、まあ、貰える方だと思いますので、10年くらいをメドに独立しようと思ったら、資金を貯めるのには悪くない選択肢だと思います。

 この他、私はアホらしくて途中で申請するのを一切ヤメたけど、真面目に超過勤務手当を申請していれば、平日4.75h×5d×50wで、若手でも年間1百万円くらいの上乗せは余裕でできると思います。

 休日出勤は、イベントとかで出てしまうと原則、振替扱いになるので、超勤にしづらいですし、普通に残務整理とかで出勤するのも、さすがに毎週、土日両日8時間超とかで仕事することについては、時間単価が安い若手が、そこまでやるのがプラスかってのは、自分の中で判断基準を持つべきだと思いますが。

 なにしろ、そうやって自分の時間を削って仕事をしても、一切、上から評価されないので。

 仕事として確実に成果につなげれば、自分のスキルや満足度、接点のある市民や関係者からの評価には、つながると思いますが、組織の内部では一切、評価されないと割り切ってやるべき。

 

 もちろん、だったら資金づくりは東京でガシガシ働いてもっと短い期間でやってしまう、という選択肢もあると思いますし、市役所の年功序列型の賃金制度は当面崩れそうもないので、定年まで市役所で稼いだ金を時間外の活動に突っ込み続ける、という方法もあると思います。ただ、後者については、兼務制限とかで自由が効かない面もあるし、そもそも拘束時間がムダなので、この辺でもう辞めた方がいいな、と思うようになる、と思いますよ。

 

 2 優秀な人との接点を得られる

 これは配属された部署にもよるので、異動希望を出せる役所であれば、積極的にそういう部署への配属を希望した方がいいと思いますが、市役所と一緒に仕事をする民間の人は、平均的な普通の市民、と言うよりは、やはり地域を代表する人たちが多いので、「学校の勉強ができる」的な意味に限らず、優秀な市民の人と知り合うことはできます。

 委託契約を結んで仕事をする人たちも、下請け的ではなく、特殊技能者やアドバイザー的な専門家であれば、圧倒的に優秀な人たちと一緒に仕事をすることもできます。

 もちろん、専門家でも、行政としか仕事をしたことがないようなタイプの人だと、マインドが役所と変わらない、か、直接、市民に文句を言われることがない分、なおタチが悪くて、各自治体をイナゴのように彷徨する焼畑農業的な人もいるみたいですが。

 優秀な人たちと接点をもって、仕事ぶりを見たり、モノの考え方を学ぶことで、自分のスキルアップにつながる、と言う点はもちろん、次の展開に踏み出すときにも、色々と力になってくれる人もいると思います。

 もちろん、市役所の看板が外れた後もどれだけ付き合ってもらえるかは、市役所時代の仕事ぶりが影響するのだと思いますし、これは狙ってできることではなくて、後からついてくるものなのだと思いますが。

 

 この点、別に市役所にいなくても、今の時代はSNSとかが発達しているので、いきなりメッセを送って会うことはできる、とも思います。

 ただ、いきなりアポ取って会う、にしても、市役所職員の立場だと、市民のキーパーソンであれ、外部の専門家であれ、圧倒的に信頼感があるので、会ってもらいやすいですし、ただ会って話をするだけじゃなくて、予算ついて事業をやれれば、やっぱりプロジェクトを一緒にやれた方が、仕事の仕方にしてもお互いの人間性についてもより深く共有できると思いできます。

 

 市役所の中の人で、参考になる人…は、自分の場合は、多分、そもそも求めてる価値観が違いすぎたせいだと思いますが、ほとんどいなかったなー、と。

 

 3 プロジェクトのノウハウを積める

  これは、そもそもプロジェクトやれない部署もあるし、自分で意識して取り組まないと、市役所の場合は、クソみたいな結果に終わっても、少なくとも市役所内部からは何のフィードバックもないので(協働した外部の人は、改善点を訊けば言ってくれるけど、わざわざ言ってくる人はレア)、どれだけ積めるかは自分次第ですが。

 ただ、少なくとも、市役所がどういう仕組みで動いているので、市役所の外に出たときに、市役所とどういう付き合い方をすべきか、ということは学べるのではないか、と思います。

 

   ※    ※    ※

 

 基本的に、自由を尊ぶ民主主義国の政府なので、この成熟した社会では、今後ますます地方自治体でやれることは限られてくると思うので、あんまり、市役所の仕事自体に、やりがいとかは求めない方がいいんじゃないでしょうかね。

 本来は、国主導→地方自治への過渡期において、いきなり地方の民間部門に任せるよりも、中間形態として、地方自治体が果たせる役割は大きいと今でも思っていますが、実際に、そのように動ける自治体や、自治体内のプロジェクトは少ないのが現実ではないでしょうか。

 市長や幹部職員とかが、そういうことをしようと本音では思ってないからね。あるいは、やれたらいいな、くらいには思っていても、やるために必要なポイントを本気では考えていないから。

 

 まあ、やりがいについては、評価もされないけど、批判もされない組織なので、時間と金をムダに掛けて、結果、周囲は何も変わってないけど、自分たちの達成感だけはある、という、中学高校の文化祭や体育祭みたいなプロジェクトであれば、やるチャンスはたくさんあると思います。

 なんらビジョンを持ってない上司や他部署からのしょうもない横やりに振り回されて嫌な思いをすることもあると思いますが、まあ、自分たちの非力さではなく、そいつらのせいで失敗した、と思えるし。

 

 あと、やりがいを求めないのであれば、定年までお金を貰いながら大過なく過ごす場、としては、時給800円くらいの優秀な臨時のお姉さんの仕事ぶりや、市民からのクレームなんかにも、鈍感力を発揮してスルーできれば、最初にも書いたとおり、地方都市では高収入な職場なので、よい職場だと思います。