aemdeko

日々の仕事に必要な調べ物の結果や個人的見解を備忘録的に書いておくと他の人に役立つこともあるかも、くらいのノリで。対象範囲は人口構造、社会保障費、都市計画、行政運営、地方自治あたりになろうかと。

日本の深い闇・・・/岡村佳明「看板のない居酒屋」

 

看板のない居酒屋

看板のない居酒屋

 

 

 なんか、もう少し経営戦略とか、マーケティング、ブランディング的な話を期待して読み始めたんだけども、まあ、サブタイトルが「繁盛店づくりは人づくり」ということで…。

 そして、人づくりを前面に掲げる、という視点には、明確なブランディングの意識は感じるんだけど…。

 

 言及すべき点は、主に3点。

 

 地方都市で多店舗展開している経営者なのだから、この本で書かれていないことも、それなりに考えながら事業経営しているハズだし、本の端々にも本題とは関係ない、そういう意識は、感じられる。

 なので、実際に店に行ってみたりとか、その辺の話を別に本を書かれるのなら、読んでみたい、とは思った。

 

 二点目として、すげーキモい。

 自己啓発系。ブラック企業。カルト宗教。洗脳。

 なんか、居酒屋甲子園系統のニオイ…とか思ったら、本文でもそのイベント自体に言及する箇所もあるし、本文中でマインドセットの神様みたいな扱いされてる人をぐぐると、居酒屋甲子園を立ち上げた人とも、そこ経由でつながってるっぽい。というか、そこ関連の出版社らしい。

 

 そして、3点目。

 自分は、こういうヤンキー的な発想は大嫌いだけれども、でも、マイルドヤンキーのバズワードぶりを持ち出さなくても、こういう世界観が日本では広く受け入れられている、という現実はある。

 それに、雇う側の立場で考えたら、確かに地方都市で、若い子たちに職を与えて、メシを食わせていくためには、こういう方法の方が確実で手っ取り早い、という現実もあるのだろう。大半が、学校の勉強なんか好きじゃなくて、ロジカルに物事を捉えられる子たちではないだろうから。

 そして、また、仮にインテリであっても、ビジネスの現場では、最後は、イチかバチかやってみるかやらないか、という場面が重要で、そこで思い切った決断をしていくためには、こういうマインドセットは、確かに重要なのかもしれない。

 

 こうしてみると、日本て、体育会系、意識高い系、ヤンキー系と根っこが同じ問題が深いところに脈々と流れていて、確かに、欧米的な民主主義、自由主義の転換点を迎えている今、こういう日本的価値観を世界に売り出すのも、方法なのかもしれませんね。

 

 僕は嫌いですけど。

 

2015/03/22 16:51付記:

 そうそう、地方都市の主な消費層がプチヤンキーだとすると、そこのターゲットを見定めて、そういう客を集めるためのアイコンとして、それらの層から見てカッコイイ/カワイイ店員を揃える、ってのは、ブランディング的に、すごく大事だと思う。それで、そういう店員をつなぎとめ、戦力として育てる最適な手法が、ポエミーな自己啓発だって可能性は、充分、納得できるんだ。

 嫌いだけど。