aemdeko

日々の仕事に必要な調べ物の結果や個人的見解を備忘録的に書いておくと他の人に役立つこともあるかも、くらいのノリで。対象範囲は人口構造、社会保障費、都市計画、行政運営、地方自治あたりになろうかと。

この際、新潟県独立しようぜ(無理)

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 四方を海と山に囲まれた新潟県民です。

 出張や旅行で、東京と埼玉、神奈川、千葉の県境とか、愛知と岐阜の県境とか越えるときに思うのは、川って昔は地理的な分断ラインだったんだろけど、いまや橋が十分に架かって生活圏としては、そりゃ一体化するよね、ということです。

 もちろん、新潟県内にも、信濃川阿賀野川ってデカい川があって、そこは昔の村境どころか、郡の境ですらあって、方言も微妙に違ってたりするんですが、今や生活圏としては一体化してたり、場合によっては市町村合併で同一市になってたりします。

 

 で、川を越えたら方言が違うレベルで本来、もっと複数県に分割されてもいいくらい、新潟県は面積もデカい。

 ので、本当に他県に行く、という機会が現代でも非日常レベル(というか、佐渡にいまだに行ったことない)。

 

 だから、道州制の議論とか全然、ピンとこない。

 

 そもそも、電力は東北電力だし、中学・高校スポーツは北信越だし、国土交通省北陸地方整備局北陸信越運輸局だし、総務省信越総合通信局だし、国税局は関東信越国税局だし、経済産業省は関東経済産業局だし、いったい、どこの道に入るの?

 というか、歴史・文化的に、一番しっくり来るのは北陸なんだろうけど、いまや京都の中心性がないし、海上輸送にも縁がないから、冨山、石川とか全然、用事なくて、日常の生活で考えたら、上越新幹線沿いの群馬、埼玉、東京の方がまだ接点あるよ。

 そういえば、コカ・コーラは新潟、群馬、埼玉で三国コカ・コーラだよ…と思って、引用しようと見に行ったら、今は経営統合して、消滅したみたいだけど。

三国コカ・コーラボトリング - Wikipedia

 

 で、そんな流浪の新潟県を象徴するかのように、「全国都道府県間産業連関表による地域間産業連関構造の分析」って論文を読むと、やっぱ新潟県の独立度、高いなぁ、と。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/srs1970/34/1/34_1_139/_pdf

 

 p.145に各都道府県の投入割合って表があって、ナナメ読みしかしてないけど、多分、地域内で生まれた資本をどこに再投下してるかって表で、軒並み地元へは5割前後(それでも5割ある、というのは今の地方創生の論点で十分考えるべき)。

 これに対して、新潟は63.4%で、北海道、東京、沖縄の7割には及ばない、とは言え、愛知、大阪、広島、福岡、宮崎、鹿児島に迫る割合。

 もちろん、これは経済の独立性を示しているけれど、逆に言えば、閉鎖性も示しているから、東日本が軒並み低いのに、西日本、特に九州が高いことが、いいことなのか、という議論の余地はあると思う。

 理想的には、外から稼いできた金を地元に落とせてる結果、地元投入が高ければよいのだけど、単純に外との交流がなくて経済規模が小さい(金を外に持ちだしてない代わりに、外からも引っ張ってこれてない)可能性も十分にある。

 

 なので、新潟が東日本にあっても他との接点少ないから、と言って、道州制を導入したとき、新潟単独路線を選べるほどの規模感ではないんだろうな、とは思う。

 少なくとも、愛知の東海、大阪の近畿、広島の中国、福岡の九州みたいな核となる県を持った地域の集約が進んだとき、存在感はますます薄まるだろうから。

 

 なお、この論文だけでは、見えてこないと思った点が2点。

 1つは、この論文が対象にしている統計データが1995年、Windows95リリース年、ということで、Amazonとかのネット通販の台頭はもちろん、企業の地方支社管理や出張なんかにおけるIT化によるコスト圧縮とかの影響が、この20年でどのくらい進んでいるのか、という興味はある。

 IT化で都道府県を超える経済活動が活発になった結果、一部のコア都道府県への集約は進んでいても、より地元に投入できる地方が増えている、あるいは地方でも他県からの投入が伸びている、という気は全くしないけど。

 

 もう1つは、新潟県はデカすぎて本当は県内各市の比較も見たい。ただ、多分、作業量とかの前に、市町村レベルに落とすと、取れないデータが多すぎると思う。なので、ある程度、大きいくくりでノイズを減らす必要を考えると、そこは都道府県レベルかとは思います。