地方公務員がモテるとかディストピアじゃないの
ちょっと、これはどういう視点で書くか逡巡したのだけれど。
まずは、自分も30代後半の独身地方公務員として、結婚をどう考えるかとか、仕事に対する態度やスキルをどう考えるかって視点があり、一方で、市役所の内情と現実を知っている普通の地方都市在住者として、これからの若くて才能のある人たちが活躍する場として、市役所がふさわしいのかどうか、という視点があり。
で、個人的なことはおいて、産業振興担当から今、まちづくりっぽいことを市役所でやってる人間として、書く。
鳥取市、男性公務員限定婚活企画 女性の応募殺到 - 47NEWS(よんななニュース)
鳥取市、男性公務員限定婚活企画 女性の応募殺到
鳥取市が、人口減少対策として実施している婚活サポート事業で、男性の参加者を公務員に限定したイベントを3月中旬に企画していることが5日、市への取材で分かった。
市によると、一部の市民からは「税金で公務員の結婚を世話するのか」といった批判も寄せられたが、参加者を募ったところ女性の応募が殺到。市は「女性のニーズに応じて企画したもの」と理解を求めている。
当初は男女各20人を予定していたが、女性から過去最多の79人の応募があり、定員を各30人に増やした上で抽選した。男性は県職員や教職員、警察官や消防士などから応募があり、市職員も数人いたという。
他紙も一部報じたらしいけど、それらに対して、twitter上でいくつか反応が。
ただ、公務員がそんなに歓迎されるのはいい社会じゃないかも。
RT @kazuo_ishikawa: いいじゃんか、別に。
〜 鳥取市が「公務員限定」婚活イベント 女性の参加殺到も…「税金で公務員の結婚を世話」と一部批判 - 産経 http://t.co/Hd6bEEqRXc
— 境 真良:『アイドル国富論』絶賛発売中! (@sakaima) 2015, 3月 5
よくないですよ。「公に貢献する」ってところにそこまで女性が殺到するとも思えないし、収入や安定が受けたとするなら、市場で頑張る仕事でそれ以上の収入や安定がないというのはやはりいい社会じゃない。所詮公務員は調整役、社会の脇役ですからね。 @kazuo_ishikawa
— 境 真良:『アイドル国富論』絶賛発売中! (@sakaima) 2015, 3月 5
婚活事業について良い悪いを言ってるわけじゃないんですよ。そもそも公務員が人気のトップになる市場経済国家ってなんですかね?ってことを言ってるんです。解決法はいろいろあると思うんですけどね。 @kazuo_ishikawa
— 境 真良:『アイドル国富論』絶賛発売中! (@sakaima) 2015, 3月 5
↓正論だが、地方出身者としては「とはいえ、それが現実」感も。。昨日もtwしたけど地方のサラリーマンじゃ、マジで公務員、インフラ系、地方金融系、地方新聞が突出して安定&高給取りだからね。。都会の人にはちょっと想像も出来ん世界だと思う。
— 木曽崇:「日本版カジノのすべて」発売中 (@takashikiso) 2015, 3月 5
地方公務員給与は、田中角栄時代に、国家公務員連動に変更。国家公務員は主要な民間企業の平均給与との比較で決まる。つまりは、地方公務員の給与は地元の経済環境と連動してない(同程度規模の他自治体とは比較するが)ので、非正規雇用も拡大する昨今、高給取りになるのは当然の構造になってる。
— 木下斉/HitoshiKinoshita (@shoutengai) 2015, 3月 5
ま、安くするとますます東京から戻る奴はいなくなるし、かといって、公務員が高給とりだから民間でまともにやるやつは出てこないってところでもある。
— 木下斉/HitoshiKinoshita (@shoutengai) 2015, 3月 5
そうなのよねぇ。ウチの高校は9割が県外進学するが、地元に残ったorUターンした人間は見渡す限り公務員/インフラ/地方金融/ローカルメディアのどれか。あと士業や医者を含めた自営か。
@shoutengai かといって、公務員が高給とりだから民間でまともにやるやつは出てこない
— 木曽崇:「日本版カジノのすべて」発売中 (@takashikiso) 2015, 3月 5
基本は再分配制度の傘の下か、規制産業ですよねぇ。"@takashikiso: そうなのよねぇ。ウチの高校は9割が県外進学するが、地元に残ったorUターンした人間は見渡す限り公務員/インフラ/地方金融/ローカルメディアのどれか。あと士業や医者を含めた自営か。
— 木下斉/HitoshiKinoshita (@shoutengai) 2015, 3月 5
↓地元に張り付いて商業活動やってる人間は数えるくらいしか居ないなぁ。。せいぜい家業を継いだ不動産屋の息子とか。
— 木曽崇:「日本版カジノのすべて」発売中 (@takashikiso) 2015, 3月 5
あとは飲食業くらいですかね。私の周りだと。大抵は高卒でがっつり働いてる手に職系のエリート。"@takashikiso: ↓地元に張り付いて商業活動やってる人間は数えるくらいしか居ないなぁ。。せいぜい家業を継いだ不動産屋の息子とか。"
— 木下斉/HitoshiKinoshita (@shoutengai) 2015, 3月 5
ほんこれ。
うちの街は、製造業、卸売業中心に中小企業がそれなりにあるんで、マトモな大学を出た後、帰ってきて実家継いでる人たちも、そこそこお会いするんだけど(特に産業振興担当だったときとか)、その人たちは経営者の息子として生まれたから帰ってきたって人たちが大半。
一方、団塊世代より下になってくると、そこそこ優秀でも経営者じゃなく会社員(それこそ役所、教師、銀行と偶然、成長できた会社で社長の右腕的存在)だったりするから、うちらの世代まで降りてくると、親の会社を継ぐって選択肢を持ってる人間も相当、限られてくる(右腕的専務さんの息子も入ってるって会社とかもあるにはあるけど、それはそれで江戸時代っぽいよね。家老かっつう)。
若い世代の人たちが、うちの街で働こうとしたとき、どういう選択肢があるのか。
その点で、今、うちの市役所の入って5年目くらいまでの20代の子たちを見てると、意外と他市出身でも入ってくる子とかいて、みんな、少なくとも学校の勉強ができるって意味では優秀だから(学習能力や基礎的なリテラシはあるから)、仕事の仕方や仕事に対する姿勢、態度とかをちゃんと教えてあげることができたら、多分、今の40代、50代の管理職なんかよりも、はるかに優秀な職員になると思うんですよ。上の世代が抜けた後も大丈夫どころか、5年くらいで追い抜いてしまうくらいの。
ただ、その一方で、多分、市役所の制度的に、彼らの大半は育たずに終わるんだろうな、と思っていて。
あるいはさらに、彼らが市役所職員として、優秀に仕事をしたところで、本当に街を前に進められるのか、とも思い。
ああいう若くて優秀な人たちが、街に出て、民間で、自分の頭で、自分の才覚で事業を起こしていかないと街は変わらないんじゃないの、と思うんですよね。
だから、地方都市には、これからもっと若くて優秀な人たちが活躍できて、さらに才覚を伸ばせる場をつくっていくべきだし、できれば、そこに交付金や補助金、社会保障費みたいな国による再配分に頼らなくても、高い所得を稼げる仕事をつくっていく必要があると思うんですよ。
若くて優秀な子たちが市役所に集まる理由が、まともに給料を払える事業所がそれくらいしかない、という現実はある。
なので、地方都市に住む若い女の子が、優秀な男や、金を稼げる男と出会おうと思ったら、まあ、公務員が確率のいい漁場だ、っていう現実もある。
ただ、それが安心とか、安定とか、リスク回避、的な意味が強くなってくると、世の中全体が停滞するんじゃなのって危機感はある。
そして、市役所はどれだけ優秀な職員を集めてきても、その性質上、保守的にならざるを得ない部分がたぶん、ある。
それなら、やっぱり、東京に出なくても地方でも、若くて優秀なヤツが所得を稼げる場を、民間の市場経済の中で、どう作っていくのかってことに、世の中全体がもっと関心を寄せる必要があると思う。