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衰退する産業都市デトロイトの徒花として咲いた地下ロックの世界

 「メタル・エヴォリューション」って音楽ドキュメンタリを見始めたんですけどね。「ヘッドバンガーズ・ジャーニー」でおなじみの人類学者サム・ダンと映像作家スコット・マクフェイデンによる続編的な位置づけの作品で、MTV傘下の音楽専門チャンネルVH1で2011年に放送された45分×11回、全8時間に及ぶ大作。

 とりあえず第2話まで見た。

 

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 第1話では、メタルのルーツとして、クラシック、ブルーズ、ジャズ、ロックンロール、ディストーション・ギター、アンプを見て、第2回は「Early US Metal」というタイトルで、サーフ・ロックとフェンダーストラトキャスターから、ガレージ・ロックとして、MC5、The Stoogesを見て、Alice Cooperとラジオの時代、Kiss、Aerosmithの成功と衰退、そして、Van Halenの登場まで。

 

 そう。個人的には、MC5とThe Stoogesは、パンクの源流ってイメージで、あんまり、メタルとは結びつかないんだけど、こうして映像(と音)で聞くと、確かに、メタルに影響を与えた感じはあるし、それより何より、Alice CooperとKissへの接続で考えると、当時のアメリカの基幹産業たる、自動車産業の中心地としてのデトロイトで生まれたバンド、というのが、この時代を象徴していると思った。

 

 基幹産業の中心地と言っても、自動車産業は労働集約型の19世紀~20世紀前半型産業の典型的なスタイルなので、繁栄の中心にある訳ではなくて、このとき既にデトロイトは、工場労働者のスラム化が始まっていて、華々しい街ではないんだ、というのが、当時の映像からもうかがえた。そもそもが、R&Bの「モータウン」にしたって、低廉な工場労働者としての黒人の集積があって生まれた音楽だったんだろう、と思うけど。

 

 一方で、イギリスでは、Black SabbathJudas Priestが石炭、鉄鉱石、そして鉄道によって栄えた街、バーミンガムから誕生したのも同じような理由なのかもしれません。

 

 そして、ここから30年間かけて、デトロイトエミネム先輩の「8マイル」の世界まで落ちていくんだなー、と思うと、いろいろと考えさせられます。その間に「ロボコップ」とデトロイト・テクノの時代もはさむわけですが。

 

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《14.12.23追記》

 全話見ましたが、デトロイトバーミンガムの他にも、グラム・メタル、スラッシュ・メタル、グランジの回では、当然と言えば当然ですが、それぞれ、LA、SF、シアトル、という都市に焦点を当てていました。

 もちろん、実際には全世界で同時多発的に類似のジャンルが発生していて、たまたま、ある都市のあるバンドが注目されたときに、その周辺のコミュニティが一気に浮上しただけなのかもしれませんが。