【中心市街地】九州北部(と東京)でまちづくりを考えてみた
書こう書こうと思って気が付いたら、1カ月放置してましたが、先月末に九州、行ってきたんですよ、九州。で、初日の昼に福岡に着いて、仕事自体はその日のうちに終わったんですが、帰りの飛行機の都合で、翌日、丸々、空きができてしまい、ちょっと街を見ておこう、と。
長崎の佐世保だとか、復活したらしいハウステンボス、あるいは太宰府の参道なんかも気になったんですが、それぞれ、そこ1カ所で終わりそうだったんで、とりあえず、佐賀市の中心部と、小倉駅前に行ってみました。
あ、ちなみに初九州だったんですけど、JR九州って何か車両のデザイン、カッコイイっすね(指、写りこんでる。。。)
さて、佐賀に行って驚いたのは、まず、博多から特急だと直通あるのに、在来線だとターミナルは、鳥栖だっつうことです。ああ、まあ、ウチの県内でも、そういう駅あるけど。で、平日の午前中、9時くらい、高校か専門学校、大学生くらいの風体の若い子たちが結構、乗り降りして、席は常に埋まってる感じでした。若い人がいるのは、いいことだ。
で、佐賀。前述の通り、平日午前中の中途半端な時間、ということもあり、まー、道を歩いている人が誰もいない。あまり事前に地勢を調べたりせず、駅から1本、裏どおりに入って歩いてみたら、結構、長い飲み屋街があったんですが、午前中だから閉まっているのか、夜でも閉まっているのかは不明な感じ。衝撃的過ぎて、写真、撮り忘れた。
かつて商店街だったらしきところ。シャッター通りですらなく、普通に、マンションと駐車場ばっかり。駅に直交する大通りに近付くと、いくつか銀行が並んでた。
で、今回、佐賀に行ったメインは、こちら。
「わいわいコンテナ」。
先ほどの商店街だったらしき通りから、少し奥に(といっても駅から離れて佐賀城、県庁に近付くので、おそらくは昔の市街地には近付く)行ったところ。放置すると、駐車場が増えていく、ということで、どうせ空間が空くなら空間を活かそう、ということで、空き地にデザイン性をもたせたコンテナを置いている。
まあ、無機質な駐車場が並ぶよりは、景観としてはいいですよね。上が1号店、下が2号店。2号店は4つくらいのコンテナに、それぞれ違う店が入ってるぽかったです。
ただ、残念ながら、平日午前中で、まだ店がオープン前だったようで(11時近くに店員らしき方が準備に来てました)、実際、お客さんがどの程度、入っていて、どういう使われ方をしているのかは不明でした。
2号店の向かいにあった銀行か何かのモダン建築(写真左が2号)。奥の駐車場に出入りはあって、2階もオフィスとして使われているようでしたが、1階のドアは閉め切り。ここと何か交流生まれるといいかもしれませんね。後、右側、見えづらいですが、掘割が残ってて、この辺の活用とか。
ちなみに1号店はJリーグ、サガン鳥栖のファンショップみたいでしたけど、2号店の近くに新しい店舗を準備中でした。1号店に手応え感じてステップアップとかなら、いい話ですね。あと、この店と2号店の間にも、新しい感じの飲食店さんが1軒、開いてました。
さらに、3号店も準備中。これは4つくらいコンテナをつなげて、ちょっと広い店舗にするみたいです。
おまけ。さっきの商店街だったらしきところの一番、端っこにあった屋根付きの広場みたなの。いや、平日午前中だから寂しい感じだったんだよ。。。(震え声)
佐賀の全体的な印象としては、多分、県庁所在地でオフィス機能とかは残っているんでしょうし、高いマンションもいくつか見えたので、ひょっとすると福岡市とかのベッドタウンと化しているのかもしれませんが(いずれにせよ、夜の飲食店とかには、それなりの需要があるのだと思いますが)、平日の日中に関しては、まったく生きている感じがしない街でした。
さっきのコンテナが立っている辺りにも、いくつか若い人がやってるんだろうな、という雑貨屋さんとか、古着屋さんとか出てたんですが、商売、ちゃんと成り立ってるのか心配になるくらい、人の気配がない街。
もちろん、ベッドタウンとして、外で働いて稼いだ金を住民税とか消費として地元に落としてくれるなら、それで街は成り立つのかもしれませんが…むしろ消費の方が、外に落ちていそうな感じもしました。
地方都市において、平日の日中をどう考えるのか、と言うのは、サラリーマン化+女性の社会進出が進む中、全国どこでも真剣に向き合う必要があるかと思ったところ。もちろん、平日の日中は諦めて、平日の日中は、サラリーマンで生活費を稼ぎながら、夜と土日だけ開ける店とかあってもいいのかもしれませんけど。
次。小倉。
JR九州は、特急もクールだぜ…って思ったけど、新幹線民なので、JR東日本の特急とか、長らく見てないわ(笑)。
駅前。パチンコ屋。なんか、やっぱり土地代が高すぎて、パチンコ屋以外、地価を負担できない、という。大阪もこんな感じだし、東京23区内もちょっと外れた駅とかだと、ありますよね。
人通りは、ちょうどお昼時ということもあり、サラリーマン、主婦層、シニア層と、それなりに多様な顔ぶれ。なんつうか、人口100万人もいて、博多へのアクセスも佐賀とどっこいどっこい、というか、むしろ佐賀より悪いくらいな感じなので、完全に独立した商圏として成立している感じでした。
古い鉄筋の建物を活かして、若い人向けの若い店をやっているところも、いくつか。まあ、全体的には、飲食店の方が元気があるみたいでしたけども。
あと、駅から離れるに従って、メインの大きいアーケードから脇に入るに従って(この日は、雨ということもあり)、やっぱり人の足は遠のくような感じが見受けられました。
でも、逆に言うと、その少ない人通りの中でも成り立つような商売の仕組みを考えていくことが大事なんだろうな、とか思った次第。
最後に、この九州北部遠征で、行こうと思って行かなかった場所の1つに武雄市の蔦屋が運営している図書館があったんですけど、上述の長崎とか太宰府に行かなかったのと同じ理由でパスしたのですが、九州から帰った足で、東京に行く用事があったんで、そういえば、オリジナルの代官山蔦屋を見ておけばいーや、と。
で、代官山蔦屋、オープン以来、気になっていて、ようやく見てきましたが…うーん、試みとしては分かるんですよ、本、特に紙の本が売れなくなっている中で、リアルエステートを持った書店として、足を運んでもらうために何をしなくちゃいけないか、というコンセプトは。
そのときに、本そのものへの興味とは少し違った切り口で、攻める必要がある、というのも、まあ、分かる。
ただ、それは代官山という立地のせいかもしれないですが、こう…非常に薄っぺらい感じがしたんですよね。
個人的には、あの空間に身を置いたときに、ああ、自分にとって本というのは特別、とまではいかないにしても、それなりに価値のある存在で、そして、あの空間は、そういう本に対する思いを共有できる人たちが集まる空間ではないな、と思った次第。
本は売れなくなっている。だから、本に興味がない人たちでも立ち寄りたくなる空間をつくる必要がある。それは、理解できる。ただ、蔦屋書店が目指すあの形で、果たして人は本に興味を持つのか、あるいは本によって知識を得ようという行為に興味を持つのか、豊富な知識を得ることによって広がる世界観、磨かれる知性に興味を持つのか。
「生きてく上で、そんなもん必要ねーだろ」って言われたら、もちろん、そういう価値感を必要としない人たちの人生もあるんでしょうけれども、こちとら、36年にわたって、そういう生き方をしてきたもんで、平和的な落としどころとしましては、ですから、ちょっと自分が必要としている世界とは違うところを目指しているんだな、と感じた次第であります。
もちろん、商売でやっているんだから、あれで単なる話題の消費に終わらず、本以外の売上であれ、きちんと利益が出てるなら、それはそれでいーんじゃないの、と思いますが。