【中心市街地】松本大地「最高の「商い」をデザインする方法」を読んで、ポートランドの取組は面白そう、とは思った
- 作者: 松本大地
- 出版社/メーカー: エクスナレッジ
- 発売日: 2012/06/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 2回
- この商品を含むブログを見る
最初に断っておくと、「エコ」とか「サステナビリティ」みたいな思想には、個人的には全然、興味がない。
そりゃ地球環境にいいことをする、とか言う発想自体は、いいことなんだろう、という気はするけれども、地球環境みたいな大規模で実態もよく分かっていないシステムに対して、日々の個人の営みがどれだけ影響力があるのか、いわゆるエコ的活動はどれも、どうしても科学的な論拠に乏しいと思うし、単なる趣味や宗教的な活動であるなら、その価値感を他人に押し付けないでほしい。
昔から、エコ的活動は、宗教改革前夜の贖宥状のような、人々が魂の救済を求めて行う活動のように見えてしまって、そこに同調することが…ひょっとしたら、それが非常に価値ある活動なんだとしても、何となく、ためらわれてしまう。
そういう個人的な立場が前提としてありますよ、と断った上で本の紹介。
ナイキ等の関係からオレゴン州ポートランドとの縁ができた著者氏が、ポートランドのまちづくりの特徴を紹介すると共に、コンサルタントとしてポートランドの発想を導入して日本国内で実際に携わった事例を紹介する本。
エコ的な視点については、前述のとおり。
残りの部分に関しては…著者氏がたとえば講演活動やコンサルティング業を行う上での名刺代わり、営業ツールとして、この本を書いた、と考えれば、よくまとまっていると思う。もう少しご本人に直接、会って、話を聞いてみたい、と思わせるような内容になっている。
逆に言うと、だから、そこの突っ込んだディテイルの部分は、記述が甘い感じがする。
また、コンサルタント業の一環として、ポートランドに視察に行くツアーを主宰している、との記述があり、その営業ツールとしても、よくまとまっていると思う。
ポートランドのまちづくり、特に議会と役所、民間の関係や、条例の考え方、公社の仕事などは、もう少し調べてみたい、と思わされた。
あと、1つ思ったのは、アメリカって結局、国土が広大すぎて、ある程度、多極化できるのだろうけど、日本の場合、やっぱり狭すぎて1都市が独自の取組、特に新しいオリジナルの取組をやったときの人口の社会減のリスクは、ちょっと怖いよなー、というのはアメリカと違うんじゃないだろか。
ともあれ、パッと読んで全体を概観する導入としては、よくまとまっているのではないかと思う。1,500円なら、そんなもんじゃないだろか。もう少し大きい会社で流通に乗れると、新書でもう少し低価格になるのかもしれないが。
その辺の出版ビジネス的な部分については、誤字・脱字もいくらか目立つ部分があり、校正の不足を感じた。