aemdeko

日々の仕事に必要な調べ物の結果や個人的見解を備忘録的に書いておくと他の人に役立つこともあるかも、くらいのノリで。対象範囲は人口構造、社会保障費、都市計画、行政運営、地方自治あたりになろうかと。

【都市工学】中心市街地活性化に必要なのはオフィス機能じゃないかとか思ってみたりするんですけどね

 以下、特に論理的な考察もデータの積み上げもしていない個人的メモ。

 

 日本全国、中心市街地活性化ってのは大きなテーマで、おそらく今、全国の自治体でこの活動を「商店街振興」として取り組んでいるところは、少ないと思う。

 理由はよく分かりません。既得権益打破の風潮で、特定の商店主だけを優遇するのはおかしい、みたいな空気もあるせいだとは思います。あるいは個別商店の支援だけをしていても各店の目先の売上、利益に拘泥せざるを得ず、商店街というゾーン全体の集客に結びつかないせいかもしれません。

 また、歴史的な商店街の分析が進んで、実は商店街とは各店舗の魅力によって集客していたのではなく、明治時代までは河川交通の要衝、明治以降は鉄道の駅前、と元々、交通の結節点という人が集まる装置があって、その周辺で商売がしやすいから、自然と商店街が形成されたのだ、決して、各店舗の魅力だけが理由で人が集まっていた訳ではない、という考え方が普及してきたせいかもしれません。

 ところで、昭和後期以降は、地方都市の主要交通手段が自家用車になったので、高速道路のインターチェンジ周辺に店が集まっている訳ですが、これは自動車に乗ってくる客をターゲットとする構造上、商店街、と呼ばれていませんし、旧市街の商店街はコレと対比されるので、ますます、上記のような視点が強化されているのかもしれません。

 

 いずれにせよ、昔は交通の結節点である街の中に城があり、役所があり、あるいは病院があったりと、人が集まる機能が存在することで、人が集まり、人が集まるところなので魅力的な個店が現れて、さらに人が集まる、というスパイラルが都市を形成してきたのだと思います。

 

 と言うわけで、現代のトレンドは、商店街振興ではなく、文化や生活を担う場として、「都市」の価値を見いだす方向での中心市街地活性化、なのだと思います。この流行が歴史的必然なのか、一時の流行なのかは、分かりません。

 ただ、歴史的な中心市街地は現代の交通結節点ではないし、現代の自動車交通の結節点には駐車場が必要とされるために、都市的集積をさせにくい、という現実は個人的には看過できないと思うのですが。

 

 文化や生活を担う場としての中心市街地の価値を発信すること…は百人に聞けば百人がいいことだと答えるとは思うのですが、それが本当に都市機能の集積につながるか、と言うと、これはかなり不確実性の高い、運任せ、神頼みの話だとも思います。話題のスポットとして訪れる客の数は増やせるのですが、その客が本来の中心市街地の価値、都市の価値に気が付き、再訪する確率を上げることは難しいので。ただ打席数を増やしているだけ。話題づくりを常にしていく必要がある、というのは結構、難儀な話だと思うのです。これだけ娯楽や趣味嗜好、情報が溢れている世の中では、特に。

 そして、当然のことながら、都市集積に必要な都市機能それ自体の担い手が、訪問者数の増加に目ざとく気が付いて、機能を都市部に移転するか(利用価値の割に高止まりしている土地コストを乗り越えて)という本当に解決が必要な真の問題にたどりつくには、もういくつかステップが必要になる訳で、ここは本当に難しいところ。

 

 そんな訳で近年、地方都市の中心市街地活性化の流れとして、恒常的に人が集まる仕掛けとして、住宅地を集めよう、という話も耳にします。単身の高齢者が増える時代にあって、集合住宅を建設すれば、一定のニーズがあるんじゃないの、とか、いやいや若年層のシェアハウスを、とか。

 まあ、デベロッパーが商機があると思って建てたいんだったら建てたらいいんじゃないの、とは思いますが、行政の施策として、そんなに有効な策だとは思えないのですね、正直なところ。

 住宅誘導がイマイチだと思う理由は、2点。

 1.住宅市場の透明性が低く、競争原理が働いていない

 2.給与所得者の住宅を集めても、都市機能集積につながらない

 

 1については表現が正しいのか分かりませんが、人間て、そんなに論理的に住む場所を選んでない気がするし、だから新しく家を建てる人(今後、減っていくと思うけど)はまだともかく、今、住んでいる家を処分して市街地に移ろうとすると、その処分ができないので留まり続ける、と言うのはあると思う。

 東京都心の山手線沿線みたいな賃貸集合住宅中心のところと、地方は同じには語れないんだろうと思います。

 

 2番目は、地方の小規模都市で、いわゆる自立した都市を諦め、大都市のベッドタウン化を目指せ、という場合には、ありうるのかもしれません。ただ、それ単なる大規模な住宅街であって、都市じゃないけどね。

 今、日本の大半の人は、給与所得者で、平日の日中、会社に行ってる訳で、街中に出かけられるのは休日くらいな訳ですよ。まあ、住んでいれば、出勤前や帰宅途中に寄ることもできるかもしれないですが、それでも日中は、そこにいない。

 日中の時間を自由に使える職住一体の個人事業主は、40年くらい前から既に減っているとは思うんですが、ただ、当時は専業主婦、というダンナに代わって一切の消費行動を行ってくれる職業の人がいたけど、これは減少中。まあ、日中、外に出ると、まだまだ意外に多いんだなー、とも思いますが、ただ、今後も減りはしても、増えはしないですよね。

 同じく高齢者の方達も、今後、仕事を継続される方が増えて、平日の日中、自由に街中に出かけられる人って減っていくんだろうな、と思うんです。

 まあ、生産活動を一切しなくても、純粋な消費活動だけを永久にし続けられる人がどこかにいればいいんですが。

 

 つまり、魅力的な都市機能を集めても、住宅を集めても、平日の日中は人がいないので、結局、都市は活性化しない。

 まあ、ノマドとか、テレワークとかで、個人の時間を自由に使える働き方は増えるかもしれないですけど。 

 ただ、一方で、先日、米ヤフーが在宅勤務禁止の方針を打ち出したように、やっぱり情報通信技術が進んで、情報交換は離れてできるようになったとしても、定期的に顔を合わせて仕事をした方がいいよね、という話もある。

http://www.cnn.co.jp/tech/35028790.html

 

 そうなると、都市機能を本当に活性化させるには、平日日中であっても人がいる仕組み、つまり働く場所を都市に集めるしかないのだろう、と思う訳です。

 土地が高く、社員の駐車場も確保できないほど狭い市街地に、わざわざ企業が移転してくるメリットがあるか、というと前途多難では、あるのですが。

 …まあ、一筋の光明としては、前述の米ヤフーの対応と同じ論理で、企業が集積している地域に立地すると、他社も含めて意見交換、協業がしやすい…かもしれない、といったところになるのでしょうか。

 この点については、前の担当部署で企業支援をしていたときに、各企業組合の参加者を見ていると、やはり従前は個人事業主や小規模事業者が多かったので、経営者同士の交流≒業界全体、地域全体の交流だったものが、今、経営者だけで交流しても、社員にまで伝わらなかったり、地域全体の交流にはなりづらい、という現状も見ているので。

※組合とかに社員さんを出している企業さんもあるんですが、やはり会社を代表する存在としては参加できない、とか、社員さんのモチベーションとして時間外に拘束されたくない、とか、色々、問題はあるようです。

 

以上、とりとめなく、現時点での論点を書き連ねるだけ書き連ねた自分用メモでした。